アンフィニMS-8
マツダの今はなきアンフィニブランドの4ドアハードトップセダンMS-8です。
当時一大ブームを巻き起こしたカリーナEDの対抗車として、マツダが急造したものの不振に終わったペルソナの後継車として登場したのが、このMS-8でした。
1990年代のマツダのスタイリストチームが一番冴えていた時期の作品で、今見ても新鮮なスタイルは歴代マツダ車の中でも名作のひとつだといっていいでしょう。
またエンジンも名作の誉れも高きKFZE、KLZE型V6を搭載するなど、なかなか意欲的な車でありました。
但し、商業的に成功したとは言い難く、マツダの高級パーソナルセダンの系譜はこの車をもって途絶え、現在まで復活していないのはご存じの通りです。
ところでこの車は、マツダの中型車用プラットフォームであるGE型の中の1台ですが、同プラットフォームは兄弟車が多く存在したことでも知られます。
マツダブランドからはクロノスとMX-6。フォードがテルスターにテルスターTX。それからオートザムがクレフ、ユーノスが500。そしてアンフィニからはMS-6と、このMS-8。
実に8車種。ついでにフォード・プローブも入れると10車種となります。
#正確にいうと、ユーノス500はGEプラットホーム派生のCAプラットホームに属するそうです。
#626とクセドス6は、実質クロノス、ユーノス500と同等のため勘定しません。
最近のプラットフォーム戦略の中では、実に効率のいい開発と云うことになるかも知れませんが、バブル期のマツダの迷走の現われの象徴でありました。
MS-8やユーノス500は比較的よく練られた車だったと思いますが、その他は当時端境期にあった北米の衝突安全基準FVSSの側面衝突規制対応で安易に幅を拡げただけだったり、バブル期の急激な販売チャンネルの拡大に対応するための泥縄的な対応が目立つモデル群でありました。
それが結果になってはっきりと現われたといってもいいのかも知れません。
そういえば、この車を含む4ドアハードトップのパーソナルセダンという日本独自のカテゴリも、いまとなっては絶滅したといってもいい存在になってしまいました。
但し、最近のメルセデスのCLSなど、かつてのカリーナEDを端緒とした4ドアハードトップセダンを思わせるものが、海外のメーカーからいくつか登場しています。
これらは単にプレミアム市場へ向けた新たなモデルというだけでなく、これまで日本独自と思っていたものが密かに影響を与えていて、ここにきて意外な形で顔を出してきたと思っているのはワタシだけでしょうか。
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コメント
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コメントが遅くなりました。(笑)
クロノス兄弟の中では大きめのボディを持つグループですが、適当な
緊張感のある造形でした。オートザム・クレフがちと大味なデザイン
だったのと対象的です。
たしか私と同期入社のH川氏のエクステリア全部やった最初の作品と
記憶しています。
それにしても数年で皆の記憶から消えてしまったMS-8と同じ時期
に開発されて今でも現役のボンゴ・バンはスゲーと思ってしまいす。
今やニッサンのバッジも付いているし、開発投資償却したあとで
けっこうな台数作っているのではないですかね。
投稿: akira isida | 2006/04/20 23:58
>isida さん
いつも興味深いコメントありがとうございます。
確かに同じ兄弟車のクレフ等よりも幅広いのに、締まって見えるあたり、佳作だと思います>MS-8
>今でも現役のボンゴ・バン
確かに。衝突安全基準改正の際にモデルチェンジしていますが、基本は変わっていませんものね。
そういえば、サニトラとかAE90カローラのなんてのが、南アフリカで生き残っています。
案外、モデルチェンジなんて必要ないのかも知れませんね(爆)。
>開発投資償却したあとで
どっかに載っていたマツダの貴島さんのインタビューで、似たような話がありました。
インタビュアーにFD3Sは儲かってないだろうと水を向けられたら、もう減価償却は終わっていて儲けも出してますよ、と答えていたのを思い出しました。
まあ、全く儲からないものを足かけ12年も作らないでしょうけど(やや毒(^_^;))。
投稿: nan | 2006/04/25 00:22