MG TF 1500
先日のおははこの際、クイーンスポートはこだて内にあるクラシックカーミュージアム函館にお邪魔したところ、新しい展示車が追加されていましたので、ここにご紹介します。
歴代MG車の中で、戦前から続く「Tシリーズ」の最終モデル、MG TF 1500です。
この車の現役時代は、MGを傘下に納めていたナッフィールド・オーガニゼイションとオースティン・モーター・カンパニーの2台メーカーが合併して、BMC(British Motor Corporation)が誕生した時期と重なります。
BMCの発足はTFの誕生に先立つ1952年。この歴史的な巨大合併直後から、グループ全体が合併の目的であった会社機構や人事の合理化は勿論のこと、結果として膨大に膨れあがった車種の統合と整理等の対応に追われることになります。
勿論、MGも例外ではなく、この時期、新型車の開発が停滞します。
待望の新世代車は、1951年のル・マン・カー「TDスペシャル」に始まり、1995年のプロトタイプ「EX182」を経て、同年発売のMGAに結実しますが、1952年にその隙間を埋めるため、TDをベースにした“TF”が登場します。
当初はTDより受け継いだ1250ccエンジンを搭載しましたが、1954年にはMGの最大の市場である北米市場からの「モア・パワー」の要求に対応するため、1954年に1466ccにボアアップしたエンジンを搭載して登場したのが、このTF 1500です。
ちなみに、当時の市場のもう一つの要求であり、スポーツカーのステイタスであった“over the ton”(100mphオーバー)の達成は、流石にこのボディとエンジンでは無理で、MGAの登場を待つことになります。
TDとの違いは主に外観と冷却系が変更された程度で、事実上TDのフェイスリフト版であり、間に合わせ的(英語でいうところの“stop gap”)なモデルであったことは否めません。このため、クラシックMGの愛好者の中には、TFを堕落したモデルとする向きも確かです。しかし、その混乱期にMGを支えた重要なモデルであることは間違いないでしょう。
新型の加圧型ラジエターの採用により、ラジエターキャップも遂にダミーとなる等の近代化によって古典的なMGの魅力が薄れた部分もありますが、今日的な眼で観ると、古典的な雰囲気を湛える内外装はなかなか魅力的です。個人的には斜め後ろからの姿と、古典的な雰囲気を伝える内装に魅力を感じます。
展示車にはまだ説明板が用意されていないため、正確な年式は判りませんが、おそらくは1954年か1955年型だと思われます。つい最近まで動体状態にあった個体らしく、できれば動かしたいという考えもあるようです。
確か、館内に展示された所蔵車一覧のパネルに、この車の姿はなかったので、最初は特別展示の車と同様に借用かと思ったのですが、同館の所蔵車の由。
まだまだ意外な「タマ」が隠されているのでしょうか? 今後に期待したいと思います。
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コメント
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なかなかキレイなTFですねぇ。私けっこう好きなんですよ。
カニ目とTFの好きなほうを貰えるとしたら、TF選んでしまうでしょうね(笑)。
オプションのスポークホイールを付けていますが、どちらかというとディスクホイールのほうがTFらしい雰囲気が出るように思います。TCまでの古典的な19インチタイヤが、TDから低圧の15インチタイヤに変更になったことも、維持しやすい理由の1つでしょうね。
でも、MGだったら戦前のJ2ミジェット/K3マグネットが本命だし、戦後であればZBマグネットサルーンのほうにより魅力を感じてしまいます<-ひねくれ者ですな。
投稿: akira isida | 2006/05/05 23:01