高速船復活
函館-青森間 高速フェリー導入 リベラ、来夏にも 2時間に短縮 (北海道新聞)
現在、東日本フェリー(リベラ)の函館~青森航路の所要時間は3時間50分。
これが新造高速船の導入により、1時間50分の短縮となります。
発注先のIncat社のWebサイトにも5/30付けでプレスリリースが出ています。
INCAT SECURES SIGNIFICANT VESSEL ORDER - Two 112 metre High Speed ferries for Japan
現在、JR北海道が函館~青森間で運行している「スーパー白鳥」が1時間51分ですから、料金次第では充分対抗することができるでしょう。
ただ本気で旅客の誘導をするためには、フェリーターミナルと函館市街地とのアクセスの向上は必須ではありますが。
車両利用客については、以前運行されていた高速船「ゆにこん(II)」は特別料金制でしたが、今回の新造船についてどうなるかが気になります。
さて、上記のIncat社のプレスリリースから、道新の記事に無い内容を拾ってみました。
- 5/27に東京で調印式を行った。
- 両社間の初契約なので、1月に同意書(Letter of Intent)に署名する。
- 新型船はIncat社最大の船となる(これまでは98m級が最大)。
- Incat社にとってリベラは欧州、北米以外で初めてのカスタマー(オペレーター)。
- 412台の乗用車か、520レーンメーターのトラックと286台の乗用車を搭載可能。
同社のサイトを見て気が付いたんですが、最近、米海軍が採用したカタマランは、ここの製品だったんですね。
欧州のカーフェリーでも似た船体のものがあって気になっていたんですが、どうやらそれらも同社の製品だったようです。
現在の主力製品は98m級。プラットホームがあって、その上に用途に合わせた上モノを載せていく、ってな造り方みたいですね(実際はそんなに簡単ではないと思いますが)。
今回は112m級とのことですから、プレスリリースにある通り、同社にとって重要な契約なのは間違いないでしょう。
ちなみに同社は船体だけでなく、専用の港湾施設も製造しているようで、これによって20分で積み込み可能と謳っています。
船体だけでなく施設も導入されるかどうか注目したいと思います。
航空機の機体のことを “Air Frame” といいますが、同社のカタマランの船体は “SeaFrame” だそうです。言い得て妙であります。
詳しくは知りませんが、最近の高速船はサーフェイスエフェクトも利用していて、航空機に近いところもあるそうですから。
さて、東日本フェリーは前述の通り、函館~青森航路に高速船を運行していた実績があります。
まず、旅客専用のジェットフォイル「ゆにこん(I)」。末広町の函館西波止場脇にターミナルがありましたが、採算が合わず撤退しています。
その後、旅客、車両兼用の大型船として「ゆにこん(II)」が登場。港町のターミナルと青森港の間を2時間で結んでいました。
残念ながら、ゆにこん(I)に乗ったことはありませんが、ゆにこん(II)の方は数度利用して快適だったことを覚えています。
高速船のため、甲板上へ出ることはできませんでしたが、椅子席も快適で特に飽きることはありませんでした。
ただ、荒天には弱かったようで、1度かなり揺れたことがありますし、大雨のときに予約していた便が欠航になり、別便に振り替えになった経験もあります。
結局はこの荒天に弱いために欠航が多発したことと、燃費が悪かったため採算が取れず、2000年の11月に廃止されています。
今回の新造船はカタマランということで、荒天時の運行についてもそれほど心配はいらないのかな、と思っております。
リベラ社にしても、運行条件や採算性についても検討を行った上での投資でしょうし。
ちなみに、ゆにこん(II)は函館を離れた後、しばらく三菱重工の横浜製作所に係留されていたようですが、どうやら買い手がついたらしく姿を消したとの情報があります。
馴染みのある船ですので、どこかでまた活躍してくれれば、と願わずにいられません。
と、いうことで手許のネガにゆにこん(II)の姿が残っていましたので、スキャンして載せてみました。
おそらく、就航2年目の1997年に青森港で撮ったカットだと思います。
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