マツダスピード・アテンザ
【絵筆號】のことで少々相談があり、ディーラーさんに行ったところ、試乗車が用意されていましたので、試乗させて頂きました。
以下、その感想です。
#画像はありません。あしからずm(__)m。
試乗車は白という地味な車体色だったこともあり、最初はマツダスピード・アテンザだということに気付きませんでした。
「普通」のセダンと外観から見分けるポイントは専用のフロントグリルとトランクリッドに付けられたマツダスピードのバッジだけなので、街中で擦れ違った場合等は、気が付かない可能性もあるのではないでしょうか。
黒一色で統一された内装も特に特別な仕立ては無し。「マツダスピード」の名前に過度な期待をすると、期待を裏切られる可能性もあります。
ちなみにデビュー当時、質感が低く感じられる部分もあったアテンザの内装ですが、この車に関していえば、あまり気になる点はありませんでした。マツダらしく地味なアップデートが積み重ねられているということでしょうか。
もう少し派手な仕立ての方が一般的にアピールしやすいのは事実ですが、個人的にはこのような外見はあまり変わらず、中身が違うという高性能セダンの仕立て方も好きなので、これはこれで正解でしょう。
それでも、個人の嗜好に合わせて、黒以外の内装色や革やウッドパネルを部分的にあしらう等のオプションが選べると嬉しかったかも知れません。
エンジンは高回転型というよりも、中低速のトルクを厚くしたタイプ。
スロットルのレスポンスも良好。排気量に余裕があるせいか、低速からスロットルの開度に対応してリニアにトルクが立ち上がるタイプのエンジンで、イメージよりも扱い易い印象を受けました。
このように書くとおとなしめのエンジンのようにも聞こえますが、2.3L+過給器が生み出すトルクにものをいわせて加速していく様は、これまでのマツダのエンジンにはなかった迫力を感じました。
そのパワーを受け止めるミッションは、23Z等にも採用されているものと同タイプと思われる6速マニュアル。
操作自体に問題はないものの、ケーブルコントロール独特の曖昧なゲートに押し込む感触が気になりました。
これは慣れの問題もあるので、大きな問題ではないとは思いますが、個人的にはもう少し左右方向のストロークが大きく、ゲートもはっきりしていた方が好ましいと思います。
ギヤレシオについては、トルクのあるエンジンとの組み合わせということもあって、どのギヤを選択しても谷間ができたりするような感じはありませんでした。逆にいうと公道上の使用では、あまり6速の有難味を感じないかも知れません。
駆動系で気になったのはクラッチの操作感。
いまどきの車にしては重めクラッチで、ミートポイントがかなり手前にあり、しかも繋がり方も少々唐突な印象を受けました。
ミートポイントがちょうどリターンスプリングが戻りきる手前のため、一番条件の悪い状態で細かい調節をしなくてはならず、渋滞時と発進時には気を遣わされました。
試乗の前にディーラーの方から注意を受けていたので、おそらく多くの人が同じ感想を持つと思われます。
もしも、この悪癖がこの個体だけの特徴でないとするなら、今一度設定を見直して欲しいところです。
乗り心地は予想通り堅め。今時、ここまではっきりと堅く締め上げられた足回りを持つ車も珍しいかも知れません。そういう意味では古典的なセッティングともいえます。
ペースを上げていくと、その堅さは気にならず、むしろ頼もしく感じるのは予想通り。
走行距離が600km強という新車同様の個体だったため、まだダンパーやブッシュ類が馴染んでいなかった可能性も差し引く必要がありますが、街中などでの低速域では、細かい路面の凹凸も忠実に拾うため、少々しなやかさにかけるというのが正直な印象です。
低速、小入力時の挙動にしなやかさがあれば、もっと高い評価を受けられることでしょう。
結論をまとめると、細部に少々気になる点はあるものの、総合的には運動性能に磨きをかけつつ、それが突出しないようにベースのアテンザの美点を活かした車にまとめられた車だといえるでしょう。
このサイズの日本製の「速い」4WDセダンというと、ランサーとインプレッサを除けば、レガシィのB4くらいしかありません。
レガシィは既にブランドイメージを確立しており、出来も良く、なかなか強力な競合相手ですが、このマツダスピード・アテンザもオルタネイティヴな選択として検討する価値がある1台でしょう。
但し前述の通り、マツダスピードの看板を背負っている割には、至って「普通」のモデルです。
これを「23T」というような通常モデルとして発売できない辺りが、昨今のセダン市場冷え込みの影響と考えるのは穿った見方でしょうか。
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