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2008/10/13

本日の目的地 (棟方志功記念館)

2008/10/13 棟方志功記念館到着。
立ち寄るかどうか、迷ったんですけどね。

#以下、2008/10/19 追記。

立ち寄ったのは青森市内にある「棟方志功記念館」。

3連休の最終日は丸一日特に目的を決めておらず、八戸から奥入瀬とか、十和田方面経由とか、野辺地方向経由で遠回りして、のんびり帰るつもりでした。

しかし、初日の青森県立美術館の常設展で観た棟方志功作品の印象が強く、棟方志功記念館で他の作品も観たいと思い立ち、予定を変更してこちらに立ち寄ることにしました。

建物もそれほど大きくはなく、比較的小さめの展示室が2室。
上記リンク先の説明にもある通り、棟方志功自身の意向によりあえて小規模になっているそうです。

展示は年4回入れ替わるそうで、今回は「秋の展示」。
テーマは「棟方志功と相馬貞三−民藝を通じて」でした。

勉強不足で相馬貞三という方のお名前は存じなかったのですが、民藝運動の中心人物であった柳宗悦にも信頼され、その他の民藝運動の中心人物達とも交流が深く、青森県での民藝運動に尽力された方の由。

今年は氏の生誕100周年にあたる年ということで、企画された展示のようです。
ちなみに青森県立美術館には、相馬貞三生誕100周年に因んだ氏の業績を辿る展示と、民藝関連の展示もあり、そちらも観ていたのでなかなか面白く観ることができました。

展示テーマとはやや離れますが、展示品の中ではやはり代表作の「釈迦十大弟子」と「大和し美し」が圧巻。

前者は青森県立美術館でも展示されていますが、そちらは屏風に表装(でいいのか!?)されていない状態での展示ですので、こちらの屏風に表装された状態と見比べるのも、また一興。
ちなみに釈迦十大弟子の左右に立つ普賢菩薩と文殊菩薩はについて、県立美術館、本記念館の説明共に「戦時中板木が焼失してしまい、昭和24年に新たに作られたもの」という解説文が添えられていましたが、制作年度の説明には「昭和14年(1939)/昭和23年(1948)改刻」とされていました。
個人的にこの1年の差が気になるのですが、改刻が1948年で、発表が翌年1949年だったということなのでしょうか!?
詳しい方、教えていただけると幸いですm(__)m。

棟方志功は好きな作家でしたが、これまでまとめて多くの作品を観る機会がなく、今回2つの美術館でそれが叶ったことで、新しい発見もありました。

それは、伝えたいテーマを観る側にしっかりと伝えるレイアウト能力にも非凡なものを持った作家だということです。
いわば、画を上手くみせる優れたグラフィックデザイナーでもあるということを感じました。

それを強く感じたのは、「柳緑花紅頌」。
花札の図案を基にして12ヶ月分の自然の風物を描いた作品です。
右上の1月、右下の2月と、順に六曲の1面に2枚(2月)ずつ、それぞれ植物と動物の組み合わせというフォーマットに従って、画が並べられています。
しかし、9月の萩と菊、12月の比翼塚と四神。この二月だけがそのフォーマットから外れています。
おそらくは、12ヶ月分を6曲の屏風に表装することを前提に画のバランスを考え、どこか弱い部分や突出した部分が出ないようにと、レイアウトを考えた結果、画題を選択したというのは穿ちすぎでしょうか。
特に12月のモチーフは花札には関係がありませんので、それを強く感じます。
(解説によれば、当初は雪にしようと思ったもののうまくいかず、柳宗悦に「いい墓があるから観に行こう」と誘われて観に行った墓を題材にした由)

この作品を観た後、改めて他の作品も眺めてみると、情熱の迸るままに描かれているようにも思える作品の多くが、実は繊細でよく考えられた計画の下に制作されているような作品が多いように感じました。

実際、釈迦十大弟子も「下絵も描かず、ぶっつけに筆を下ろしました」と語っていたようですが、近年の研究では書簡やラフデッサンから構想に時間をかけていたと伺えるという説明もありましたので、あながち外していないのではないかと思います。

とはいえ、日本民藝館に納められた「心偈頌」(しんげしょう)では、柳宗悦から「有った血の流れが、堰を切って迸るのである。様々な混雑や喧噪があるのは止むを得ない。何を描いてゐるのか分からない場合があるのは、まだはつきり掴めてゐないものがある證據(しょうこ)とも云える」と指摘されて、線を整理した画もあったようなので、そのキャリアの中で洗練されていった能力なのかも知れません。
(柳宗悦の指摘を受ける前後の画は青森県立美術館で観ることができました。)

因みに青森県立美術館の棟方志功展示室の今回のテーマは「民芸運動と棟方版画-模様の美」でしたので、こういったグラフィックデザイナー的な能力についても、詳しい方には周知のことではあるのかも知れません。

その他に印象に残ったのは、処女版画集である「星座の花嫁」(1931年)。
その後の彼の画風と比べると、やや整いすぎてファンシーな感じも受けますが、やはり非凡なる才能を感じさせます。(個人的には大変気に入りました)
しかし最後の頁に「又あとからあとからつづく人かづ/むなかたは一すじみちを行く人/先を行く人じやまです」とあるあたりは、氏らしい迫力を感じます。

ちなみに今回は民藝関連の作品の展示もあり、その中に柳宗悦作「ナ云ヒソ」「急ゲド水ハ」という書があり、この言葉も印象に残りました。

「今ヨリ ナキニ ナ云ヒソ」(今を置いて実存はない 云うなかれ、明日と)
「急ゲド水ハ 流レジ月ハ」((川の)水は急げど(流れても) (水に映る)月は流れじ)

自分がそのように生きているか、ちょっとだけ胸を衝かれた言葉でありました。

さて、長々駄文を書いてしまいましたが、最終日に立ち寄ったのは正解でした。
小さいハコではありますが、きちんと管理されていて、展示替えも定期的に行われているようですので、また訪れてみたいと思います。

できれば、冬に立ち寄ってみたいですね。

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