護衛艦ひえい (DDH-142)
さて、エントリに日が空いてしまいましたが、3隻目は「ひえい」。
「はるな」型ヘリコプター搭載護衛艦の2番艦。艦番号はDDH-142。
その名の通り、大型ヘリコプターを3機搭載しています。
ちなみに艦名は旧海軍時代の「比叡」(金剛型コルベット、金剛型戦艦)から数えて3代目となります。
この日、公開された他の2隻と明らかに違うのは、砲塔が2基装備されていることでしょう(Mk42 5インチ砲)。
口径はきりしまのものと同じ程度ではありますが、こちらの方が大きく迫力があるように感じます。
その理由は、他の2隻に搭載されている砲塔が自動砲で砲塔内に人が居ないのに対し、この砲塔は半自動砲で、砲塔内に操作員が4名入るための空間が確保されているためでしょう。
そう考えながら見てみると、他の2隻の砲塔には無かった手摺りや、ドアがあることに気付きます。
そして、他の2隻でもご紹介した排莢装置はこんな感じ。
上の画像をご覧頂くと判ると思いますが、その下には排出した薬莢受けと思われるバスケットも装備されています。
この砲塔の発射速度は毎分40発ということですから、あっという間に、排莢受けは一杯になりそうですね。
#そんなに速く撃ちません。
そして5インチ砲の後方には、これも最近の護衛艦では珍しくなったアスロック発射装置。
かつての汎用護衛艦、ヘリコプター搭載護衛艦といえば、速射砲と、このアスロックランチャーの組み合わせが一般的でしたが、後者はVLSにとって変わられてしまいました。
個人的には、こういったものに興味を持ち始めた頃に一般的だった装備ということもあり、海上自衛隊の護衛艦というと、ついこの組み合わせを思い浮かべてしまいます。
そしてこれも他の2隻とは、ちょっと違った風景。いなづまの艦上から見たひえいの中央構造物です。
かつての護衛艦というと、このように複雑な形状のマストがよく見られたものですが、装備の変遷と共に最近では見かけなくなってきたように思います。
こうして見ると、他の2隻とは明らかに設計年次や思想が違うことがはっきりと見てとれます。
乗員の方にこの感想を伝えると「それは、昭和の艦と、平成の艦ですから」という答えが返ってきて、納得すると同時に笑ってしまいました。
ひえいが進水したのが1973年。きりしまが1993年、いなづまが1998年。その間には20〜25年の隔たりがあります。ひえいも1987年には特別改造工事(FRAM:Freet Rehabilitation And Modernisation)を行い、近代化されてはいるものの、それから数えても10年近い差がありますので、致し方ないところでしょうか。
さてひえいといえば、なんといってもヘリコプターを運用するための飛行甲板。
当初は全通甲板、または砲塔を1門にして、ヘリコプターを2機同時発着可能とする案もあったそうですが、最終的に現在のかたちに決定されたそうです。
同時に発着可能な機体が1機のみということから想像すると、それほど広くないように思われるかも知れませんが、運用するヘリコプターもそれなりのサイズということもあり、かなり広いものでした。
説明してくださった乗員の方も、端から端まで動くとそれなりにしんどいものだと言っておられました。確かに明かりもなく暗い夜や、荒天下で揺れる中、この広い甲板上を行き来するのは大変そうです。
しかし、これでも空から着艦する対象として見ると、小さく感じるんでしょうね。
ちなみに本艦は、現在建造中の「ひゅうが」型ヘリコプター搭載護衛艦の2番艦に跡を譲り、退役することになっているそうです。
就役当時は海上自衛隊の「新・八八艦隊」構想(護衛艦8隻、ヘリコプター8機で1護衛隊群を構成する構想)の中枢となるべく計画された、記念すべき型の艦の晩年をこの目に焼き付けることができてよかった、というのはいい過ぎでしょうか。
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