RFC8962 プロトコル警察の設立
ネットワークに関わる人間にとって大事なRFCが発行されていた。
RFC8962 Establishing the Protocol Police (プロトコル警察の設立)
以下、序論 (Introduction) 以降を訳してみた。
概要
「我々はプロトコル警察ではない」というのが、IETFのスローガンの一つである。
しかしながら、IETF標準に完全準拠したプロトコルの実装と展開を確実にするためには、正しいプロトコルの動作の評価と強制に責任を負う機関を設立することが重要である。
本文書は正式にプロトコル警察を設立する。
ここではその機関を規定し、それがIETFプロトコル面での秩序となることを目的とする。
本文書は、ネットワーク技術者、法執行機関関係者、政府代表者、およびその他の人々のための参照点としての役割を果たす。
また、プロトコル警察に問題を報告する方法についての助言も提供する。
(中略)
1. 序論
2. 定義
3. プロトコル警察の組織
3.1. プロトコル警察を認める
3.2. 採用
4. プロトコル警察への支援
5. 罰しうる違反事項
5.1. プロトコルレイヤー違反
5.2. 非相互運用性を審議する
5.3. RFCに背く
6. 違反行為の報告
7. 処罰
7.1. トラフィック懲役
8. 倫理的検討事項
8.1. 監視
9. IANAの検討事項
10. セキュリティ上の検討事項
11. プライバシー上の検討事項
12. 人権上の検討事項
13. Conclusion
13. 結論
1. 序論
IETFの参加者は、開発者や展開者が極めて神聖なRFCの言葉に従わないことを選択する状況に直面することがある。
これは、予想外、保証外、あるいは望ましくないと広く認められる結果を招く可能性がある。
IETFの参加者は総意を形成すべきで、許されないプロトコルの動作を宣言し、準拠していないプロトコルの保守者と開発者は非難されるべきであるという意見がある。
その一方で(特にワーキンググループの議長は)、「我々(またはIETF)はプロトコル警察ではない」という、明文化されていないスローガンの下、奥床しく尻込みしている。
当然のことながら、これはプロトコル仕様の正しい実装について誰が判断するべきなのかという混乱を招くことになる。
本文書はこれまでIETFにおいて明文化されていなかった、プロトコル警察を正式に設立する。
ここではその機関を規定し、それがIETFプロトコル面での秩序となることを目的とする。
本文書は、ネットワーク技術者、法執行機関関係者、政府代表者、およびその他の人々のための参照点としての役割を果たす。
また、プロトコル警察に問題を報告する方法についての助言も提供する。
本文書内で規定されるプロトコル警察は、全てのIETFとベストプラクティスを強制することの責任を負う。
2. 定義
「することになる (SHALL)」と「してもよい (MAY)」といった単語が、その本来、且つ法的拘束力を持つ意味で本文書内で用いられるのは、おそらくIETF史上初めてのことであろう。
3. プロトコル警察の組織
プロトコル警察は、IABとIESGを選出するのに用いられるのと同様の方法[RFC8713] に基づいて、[RFC3797] 内で説明されているIETF指名委員会(Nominating Committee: NomCom)によって選出される。
しかしながら、プロトコル警察の構成員の氏名を公開することはない。
これによって、より効率的、且つ妨害、あるいはコミュニティのメンバーからの不当な圧力をうけることなく、彼らを運用する可能になる。
プロトコル警察の最初の規則は暗号文 <$CIPHERTEXT> である。
3.1. プロトコル警察を認める
1人以上の人が「我々はプロトコル警察ではない」と言うとき、少なくとも1人以上は本当のことを言っていない。
プロトコル警察は組織を愛し、1人ではない。
あなたはプロトコル警察でなく、我々も然り。
我々はプロトコル警察でなく、あなたも然り。
3.2. 採用
あなたがプロトコル警察への参加に興味があれば、あなたのローカルホスト<localhost> に連絡して欲しい。
あなたの行動は監視されるようになり、あなたの実装は完全にRFCに準拠しているか解析される。
もし現在と過去両方のあなたの行動が聖典に忠実であると認められれば、NomComは当然あなたに職を任命するように指示することになる。
しかし、あなたが罪を犯していれば、あなたに対する未来の訴訟のために、連絡無しに調査を開始してもよい。
プロトコル警察の構成員としてあなたの適格性の評価中に、あなたに代わってインターネットモラルマジョリティー [RFC4041] に連絡を取ることができる。
あなたに隠し事がなければ、恐れることはない。
4. プロトコル警察への支援
プロトコル警察の存在と運用に対する支援は、「同意に基づく取締」の考え方のためには不可欠である。
幸いにもIETFコミュニティと全ての利害関係者は、その存在と順守を指示する力によって、自身で本文書に報いたいと考えているであろう。
5. 罰しうる違反事項
5.1. プロトコルレイヤー違反
幾つかの境界は侵害してはならない。レイヤーの侵害は認められない。
レイヤーは、国境と同様、曖昧な抽象的概念であり、それを作り出す機関の正当性とアイデンティティを維持するためだけに存在しているが、プロトコル警察がそれを守るために存在しているのだから、それを監視し、守らなければならない。
5.2. 非相互運用性を審議する
プロトコル警察は、相互運用性を弱体化する全てのウォールドガーデンへのアクセスを得られるように制裁措置をとる。
同時に、プロトコル警察は全てのNTP時代 ([RFC5905] のセクション6参照) におけるレガシーな相互運用性のオプションを守り、少なくとも 2147483649 時代までにExtensible Messaging and Presence Protocol (XMPP) 経由で到達可能にする。
5.3. RFCに背く
RFCが始まって以来、ネットワークはRFCと共にありRFCはネットワークと共にある。
RFCを使って、全てのものが作られている。
これまで作られたものは、RFC無しには何も作られなかった。
ネットワークには生命があり、その生命は全てのインターネットの光であった。
汝、RFCで示された道を踏み外すことなかれ。さもなくば、汝はデータプレーンに散るであろう。
6. 違反行為の報告
違反行為の疑いの報告と、不正行為についての全ての情報は全て /dev/null に送ること。
プロトコル警察は傾聴し、それに対処する。
7. 処罰
7.1. トラフィック懲役
プロトコル警察はホストとクライアントのリストを維持し、それらがRFCに含まれている単純な戒律を理解不能であることを立証する。
全てのIETF参加者は、それが一般聴衆にとっても正確で利用しやすいことを知っている。
この作業が標準化された際は、IANAは、そのアドレスのリスト (セクション9参照) の登録を要求する。
公式な通知において指定された期間、他の全てのネットワークは、そのアドレスから送受信されるパケットを廃棄することになる。
これは結果として、効果的に犯罪ネットワークを強制的に封じ込めることになる。
脅威分析のために強力な機械学習のメカニズムを用いて、プロトコル警察はこの要件に従うことができそうにないネットワークを識別する。
このプロセスは、ヒューリスティックインターネットポリシング (HIP) として知られている。
この方法で識別されたネットワークは、TCP RSTでプロトコル警察によって統制される。
覚えていて頂きたい。プロトコル警察は常にHIPから急行することを。
8. 倫理的検討事項
本セクションは、[RFC4041] の要求と一致した倫理的検討事項を含む。
| 我々は拒否するのは、王、大統領、そして投票。
| 我々は信ずるのは、大まかな意見の一致と実行しているコード。
| 我々は屈服するのは、プロトコル警察。
| -- 我が友、デイヴ
| ピーポー、ピーポー! プロトコル警察だ!
| ピーポー、ピーポー! けだものパケットだ!
| -- KRS-ZERO ([RFC3514] の悪ビットを発見した後)
8.1. 監視
全てのプロトコル警察は責任を負い、監視に従わなければならない。
プロトコル警察は、その行動の監視に対して全ての責任を負い、全ての活動を監視することを誓う。
9. IANAの検討事項
この作業が標準化された際、IANAは犯罪ネットワークとアドレスの登録を開始することになる。
IANAがこの支持に従わなかった場合、その官僚主義を失う前にプロトコル警察はICANNへ急行し、わめきちらす。
10. セキュリティ上の検討事項
プロトコル警察なくして、セキュリティはない。
プロトコル警察がやって来る。
全てのネットワークは我々のものになる。
11. プライバシー上の検討事項
なし。
12. 人権上の検討事項
心配ご無用。警察は見ている。
13. 結論。
一見落着。
ここで説明する必要はないとおもわれますが、これはアレですよ、アレ。
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