パンテーラの計画が暗礁に乗り上げた原因の一つは、ボディ剛性の不足による操縦性の問題。これのリコール実施のためにフォードは多額の追加投資を行います。
二つ目の問題は、ボディの防錆対策のお粗末さによる、ボディの品質問題。

その他にも効きの悪いエアコンとオーバーヒート問題や、スーパースポーツとしては安価だったものの、当時の「マッスル・カー」と較べて高価な価格等も災いし、計画に遠く及ばない実績(4474台)しか残せず、1974年にはプロジェクト(と、フォード傘下に収まっていたギア、ヴィニャーレ、そしてデ・トマゾの株)はデ・トマゾに渡ります。

その後、デ・トマゾ自身の手によって、パンテーラは細々としかし地道な改良が続けられ、1996年までの25年間に渡って生産されることになります。

今回の参加車は、パンテーラとしては3世代目、フォードからデ・トマゾに生産が移行してからの第1世代にあたるモデルだと思われます。
マフラーなどからエンジンもチューニングを受けていると思われますが詳細は不明です。
ボディは当時の“GT5-S”に準ずるもので、車名ロゴのデコキットや、オプションのリアウイングが装着されています。

初期生産車の品質問題によって大いに評判を落としたパンテーラではありますが、愛好者や本来の姿を知る人にお話を伺うと、基本的な設計の正しさは流石で、ボディの手入れがしっかりしていて、エンジン、ミッションも完調な個体の走りは素晴らしいものがあるそうです。
またパワーユニットはアメリカンV8ならではの柔軟さも持ち合わせており、運転し易いと評する人もあります。

最近では1980年代のパンテーラというと、改造を加えられた車が多いイメージがありますが、それはこの車が素性の良さと魅力を備えているが故に、その魅力に更に磨きをかけたいという気持ちの現れなのではないでしょうか。

P.S.
パンテーラの誕生にまつわる興味深いエピソードについては福野礼一郎著「幻のスーパーカー」(双葉文庫)で詳しく語られています。
パンテーラ以外の車についても、面白いエピソードが多い一冊ですので、一読をおすすめします。